太宰治作品
「灯籠」 「葉桜と魔笛」
言えば言うほど、人は私を信じて呉(く)れません。逢うひと、逢うひと、みんな私を警戒いたします。ただ、なつかしく、顔を見たくて訪ねていっても、なにしに来たというような目つきでもって迎えて呉れます。たまらない思いでございます。 もう、どこへも行きたくなくなりました。すぐちかくのお湯屋へ行くのにも、きっと日暮をえらんでまいります。誰にも顔を見られたくないのです。ま夏のじぶんには、それでも、夕闇(ゆうやみ)の中に私のゆかたが白く浮んで、おそろしく目立つような気がして、死ぬるほど当惑いたしました。
語りの会「ぼてふり」に出演した太宰治作品のライブ版です。編集していませんので、山田さんの「ひとり舞台」での動きや表情を、「間」から想像しながらお楽しみ下さい。
山田 レイコ
日本演技アカデミーから劇団芸協 同人会を経て、劇団櫂の旗揚げに参加。その後、岡本 一彦氏との出会いにより、劇団を離れ仲間と共にレッスンを開始。また故高橋 博氏に朗読を師事し、加えて日舞、バレー、義太夫を学ぶことでひとり舞台の基礎をつくる。
1989年から、「山田 レイコ ひとり舞台」を国立演芸場にてスタート。
1999年度文化庁芸術祭演芸部門で優秀賞を受賞。広島出身
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